棟架部分
中国人が華麗で優美な建物を称賛する時に、よく「彫梁画棟(彫刻・彩色された豪華な建物)」という言葉を使います。彫刻を施された木部材は中国建築において重要な特徴であるからです。木彫りは廊下の横架材、窓・扉などによく使われています。
「通隨」とも称し、回廊の天井下にある、彫刻を施された木材で、柱と梁を安定させ、変形が生じないように補佐する構造になっています。
面積の小さい枋(角柱の形をした木材)で、アーチ型に曲げられることが多く、梁の隙間に埋め込み、固定する役割があります。今では主に装飾として使われています。
枡が設置される台で、重い梁枠を支えるという構造的な役割を果たし、そのデザインは多様に変化させることが可能で、大木作(大工)が彫刻装飾に力を入れるところとなります。
斗座の一種で、梁と柱が交差する箇所に位置し、通常は瓜状または螭虎(猛獣)の模様に彫られ、瓜の先を伸ばして鷹の爪の形に束ね、通梁を落ちないようにしっかりと掴んでいます。
斗拱は構造的な機能を持ち、柱から伸び出た肘木が末端で斗形と接続し、その斗形の上にさらに肘木を交互に組み合わせて斗拱を構成し、屋根の重さを分散し支えます。
「雀替」、「挿角」とも称され、梁と柱の接続部にあり、三角形に近い形をした木部材で、構成材を固定させる役割があります。
屋根の下端にある柱に取り付けた蝶の形をした敷き木のことで、桁の上にある部材を支えています。
「花筒」とも称され、屋根の縁に吊り下がっており、吊柱の延長です。吊柱の末端にはよく花かごや繡球(刺繍入りの絹のまり)の形に彫られます。
吊柱の外側にある木の彫刻物で、継ぎ目を隠す役目をしており、目立つ位置にあるため人目を引き付けます。飾り彫の重要な役目をはたしています
格扇門は通常6枚、8枚さらには10枚等と異なった形式があり、室内を仕切る門として使われ、必要に応じて全て取り外して室内空間を広げることが出来ます。一枚の格扇は格子を組んだ格心、その上下に用いる装飾的な縧環板と腰華板、そして裙板(日本の障子の腰板にあたる)で構成されています
採光のために格子を組んだ窓のことで、幾何学模様や自然の景色の模様になっており、ガラスを嵌め込んだり、絹を貼りつけたりすることも出来ます。中国伝統建築の飾り彫りの中でも特に変化に富んでいます。
透かし彫りがよく用いられ、四季に咲く花と飛ぶ鳥、人物あるいは幾何学模様が彫られ、とても立体感に富んでいます。
よく銅器に飾られるトウテツ紋と呼ばれる模様にならって、主に双螭(空想の動物)を彫りますが、草花や雲紋などの模様も取り入れられています。浅浮き彫りの技法が用いられています。
裙板はフレームに彩色を施され、仕上げがシンプルで上品です。
格扇門と違い裙板がなく壁に固定され、透かし彫りで出来た木の棒(櫺子と呼ばれる)で花模様に組み上げ、立体的に陰影を作り出せる、採光性と通気性を兼ね備えた「窗櫺(木格子窓の格子部)」を形成します。格子は毬模様やひし形模様など様々な図案があります。
比較的高い建物で空気を入れ替えるための換気窓です。やや高めの位置に設置されていながらも、その作りはとても繊細で、縦横の木の棒を平行または交差して組み合わせています。