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園林芸術

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造景技法

造景技法  
 
中国式庭園の発展は歴史が長く、代々受け継がれてきた経験はやがて造景理論を形成し、その技法を応用することにより奥の深い変化に富んだ景観が創造され、見る人の喜びを引き出したり、今までは気づかなかったことに気づかされたりします。
 

次第に佳境に入った

庭園を遊覧するとは一曲の絶妙な音楽を楽しむことと同じで、起承転結に沿って一定の順序に従うと造園者が意図したままの雰囲気を味わえます。林本源園邸を遊覧する時、最初に素朴な汲古書屋、次に静かで優雅な方鑑斎水院を見てから、ようやく園邸で最も華麗な建物である来青閣にたどり着きます。一歩一歩進むに従い、訪れる人は少しずつ姿を変えていく絶妙な景観を体験することが出来ます。また、汲古書屋から方鑑斎へ向かう途中、薄暗い廊下を通らなければなりません。何の変哲もない、どこにでもあるような道を進んでいくと、突然美しい池が目に飛び込んできて、人々に「山窮水盡疑無路,柳暗花明又一村(山奥で道がないと思いきや、柳の茂る暗い所を抜けると、突然華やかに咲いた花の群れがあり、その彼方にもう一つの村を発見した)」ような喜びを与えます。

小さところから大きいところを見る

大自然の雄大な山や奔流の水と比べると、個人の庭園は比べ物にならないくらいスケールが小さいです。いかにこの小さい空間を生かして、「宇宙の無限」を現出させることができるのでしょうか?造園者は「対比」と「際立たせ」などの造景技法を用いて、大小、遠近、明暗の対比で人々に広い空間にいるような錯覚を覚えさせます。

歩きながら、景観が変わっていく。

伝統的な園林において、遊覧経路は紆余曲折に造られ、上ったり下ったりと、回廊や壁、橋に誘導され、人々は迂回しながら前へ進み、目の前に景観が見えながらも、直線で到着できないようになっています。造園者は遊客が通る経路上に山水や建物、花、木を利用して素晴らしい景観を構成させ、遊客がそれに導かれていくと、更に魅力溢れる景色が次々と人を引き付けます

多様性と統一感

林本源庭園は林家が生活に精神的な豊かさを追求するため、役人や富商を招待するために造られた園林です。庭園の中にある様々な建造物はそれぞれに役割を持っていますが、主要か付属的なものなのかが明白でありながら、お互いに関連性を持って一体を成しています。この庭園は四つの主な区域に分けられています。一つ目は書斎の汲古書屋と方鑑斎、二つ目は賓客の招待所や宿泊所として使われた来青閣で、開軒一笑亭と花を観賞したりする香玉簃はそれに付属する建造物です。三つ目は宴会を開く場所である定靜堂で、付属する建造物には月波水榭があります。四つ目は観稼楼と榕蔭大池です。庭園は細部までこだわり、建物に豊かで多彩なイメージを与えています。花窓だけでも、三十種類余りの様式があり、それぞれが巧みに配置され、景観と調和し、統一感があります。木材建築で見られる斗拱には螭虎拱や関刀拱、如意拱などの各様式があります。同じ螭虎拱でも、あるものは愉快な表情で面白みに溢れたり、あるものは顔をあげ胸を張る様だったりとさまざまなデザインがあり、これらの変化が建物と融合して、ゆっくり味わって鑑賞するといつも人々の感嘆を誘います。

景観を得るには遠近に拘らずー借景

古代の造園家はかつて「得景無拘遠近(景観を得るのに遠近に拘ることはない)」と言ったことがあります。つまり、「借景」によって自然の山と水の美しさや名勝の寺院や塔などの景色を、庭園を形成する背景に取り入れて、園林景観の一部とすることです。例えば、来青閣や観稼楼に上ると、遠方には、北に淡水河と観音山の景色が、近くには農夫が田畑を耕している様子が、そして足元には園林が見られ、これらが独特な景観を織り成します。しかし、今では都市の開発が進み、人口が急増しているため、塀の外から自然の風景を借りることは難しくなってきました。

対景

園林の景観を対向させることにより、さまざまな視覚効果が得られ、新たな景観を造り出します。景観を楽しめるスポットであると同時に、景観自身でもあります

枠は描いたような風景が出させる。

時々建物の窓枠から絵に描いたような絶妙な風景を見つけることができます。これが「切り取る」という建築手法です。建物の門や窓、あるいは二本の柱の間で形成された枠を使って、まるで絵のように風景を切り取って楽しむことができます。

視線を遮る技法

伝統園林は通常一目で見渡せないようになっています。なぜなら、園林の山水を一目で余すところなく見終わってしまっては面白みも味わいも失われ、せっかくの美景が台無しだからです。景観を使ってある程度視線を遮ることからも園林設計者のこだわりが分かります。

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