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園林芸術

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構成要素、園林建築、仮山、水池、花木

構成要素  
 
園林を構成する四大要素:建物、築山、池、植物。

 
園林建築  
 
園林建築は他の種類の建物と同じように、読書や招待、鑑賞などといった実用的な役割を果たします。しかし、それに加えて、園林建築は造景を考慮して、隣接する山や水、植物と一体となって景観を形成しなければなりません。つまり、建物の中からは外の美しい景色を鑑賞でき、さらに、外から見たときには景色の一部でもあるのです。

 

園林建築は多様化しており、例えば、亭、台、楼、閣、堂、屋、軒、榭、斎、陸橋、回廊などがあり、それぞれ異なる役割と容貌を有します。

 

林本源園邸では様々な園林建築を見ることができます。

庁と堂とは屋敷の大広間で、外見は正方形に整っており、大きくて高い屋根は精巧に装飾されており、屋敷の前後に庭園があります。主に接客、祭祀、団体活動で使われ、通常、園林内で最も重要な場所に位置しています。また、林本源園邸の中で最も広い面積を占める定静堂のように、美しい景色を鑑賞できるスポットでもあります。軒と館も庁堂の一つの種類ですが、面積が比較的に狭く、庁と堂の次に重要な位置に設けられ、景観を鑑賞できる小型建築としてなっています

斎、室、房、屋は多くの場合、主体となる建物に付属して建てられ、補助的な空間として使われています。形式にこだわらなくても良いため、この種類の建築は園林の中で最もよく見られ、最も変化にも富んでいます。斎室は斎戒修行をするための所で、また、学舎や書屋も斎と呼ぶことができます。そのため、静かさと素朴さを重んじています。汲古書屋や方鑑斎などがそうです。

園林建築において、楼と閣は高層建築を指し、ここから景観を鑑賞することができます。建築が華麗にして精緻であり、デザインは変化に富み、園林の中で重要な鑑賞スポットです。楼と閣の違いについて言えば、楼の下の方は主に重厚なレンガ壁で固められ、空間的に密閉しているのに対し、閣の下の方は主に木材で構成され、周りに回廊が設けられているため、通気性に優れています。

榭は、「なにかを頼りにする」という意味があるため、この種類の建物はよく庭園の一箇所に寄り添うように建てられています。例えば、水際や、花や木のそばに立てられた小さな空間は全て榭と呼ぶことができます。林本源園邸にある月波水榭が水際から水面上に立てられた榭の一例です。榭は軒、亭、舫と性質的に似ており、建築風格はより軽快な印象を与え、あまり形式にもこだわりません。

亭は中国式建築の中で最もよく見られる形式です。屋根と柱、基座の三つの部分から構成されています。亭とは「停まる」という意味で、足休め、休息、納涼、雨宿り、眺望などの場として、林本源園邸内で至るところで見られます。場所を取らない分、デザイン的により一層変化に富み、景観の一つであったり、景観を鑑賞するときの最高のスポットであったりします。

牆は中国建築の中で、塀として安全性やプライバシーを守るために造られるほかにも、造園の時に空間を区画し、複層的に景観を表現して、訪れる人の視線の行き先を誘導します。高さは低めで、壁に門洞(人が出入りできるほどの大きい穴)以外にも、花窓と呼ばれる透かし窓を設けることで景観をテーマごとに分けながらも、どこかで繋がっている印象を与えます。

園林内の各景観スポットは小道によって繋がっており、庭園の所有者と客は小道に沿って景色を鑑賞することができます。景観の変化を求めるため、道はまっすぐではなく、紆余曲折に造られ、ある時は壁に沿って、ある時は山を登るようにして進みます。これら曲がりくねった回廊や道に沿って、様々な景色を造り、立ち止まって前へ進まなくても同じ場所から異なる景色を楽しめるよう工夫を凝らし、鑑賞する時間と空間を広げました。

山水は自然の風景の魂であり、中国の山水画の流行や庭園に築山を配置するところからも、人々の自然に対する観察と憧れを感じ取ることが出来ます。限られた庭園面積で山水の趣を醸し出すには、たとえ山の一欠けらでも、一寸の石でもこだわりきらなければなりません。それは造園職人の芸術的感性と匠の技のコラボレーションによって初めて完成するのです。

 

林本源園邸では太湖の石を使用していません。築山を造る手法も中国華北地域の園林と異なっています。林本源園邸の築山は故郷であう漳州の山景色を模倣したもので、築山の内側はレンガで造り、外側は灰土で固められています。また、塀と融合することにより、目隠しの効果が生まれるだけでなく、視覚的にも連綿と続く高くて険しい山を描いた水墨画を見ているような気分にさせられます。

水  池

園林造景には「三分の水、二分の竹、一分の建物」という言い方があり、これによって園林において池がいかに重要なのかを知ることが出来ます。園林の池の多くは人工的に掘られたもので、原則として、形はより自然に近いよう曲折としています。比較的に大きい池は小橋で水域をいくつかに分け、複層的な水景色を造り出します。

 

鑑賞のほかにも、池は温度・湿度の調整や消火用水などの実用的な役割も持っています。林本源園邸は大規模な園林でよく使われる大きな湖のような池ではなく、小型の池に周りの築山を水面に反映させて山水の縮景を表現しています。

 

庭園で築山と池を造るのは、自然に対する憧れだけではなく、神話的な要素もあります。秦の始皇帝は長生きをするため、仙人の果物を採りに童男童女を東海神山へ赴かせましたが、もちろん見つかることはなく、やむなく咸陽水池を築き蓬萊仙山をかたどった築山を造り、神の恩恵を賜るよう祈りました。このように神仙の島を象徴する築山の造り方は後世まで伝えられました。

園林の中で仮山を築き、水池を掘り、自然に対する愛好ばかりではなく、すこしだけ神話色彩もあります。
   秦始皇は百才までに長生きするために童男童女を東海神山へ赴かせ、仙人の果物を探させました。結果はもちろんなにもみつからなく、やむを得なく咸陽水池を築き蓬萊仙山を建てることにし、神の恩恵を賜るよう祈りました。このような神仙の島を象徴する仮山の作り方は後世までに伝えられています。

花  木

大自然は花と木に色とりどりの姿、色彩、香りを与え、花木は庭園を生き生きとさせ、静かで落ち着いた情調を引き立て、庭園にとってなくてはならない要素です。植物は四季によって異なった自然の風貌を生み出し、園林の山水、建築と一体化し、枠取りや各種の造園技法を通して、詩情溢れる園林景観を造りだしています。



また、植物にも象徴的な意味が含まれており、物質的な姿で取巻く環境を美化するだけでなく、植物自身が持つ文化的象徴は人々の豊かな心をも養います。

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