ハマイヌビワは別名「白肉榕樹(クワ)」といい、クワ科に属していますが、ガジュマル樹、アコギなどの植物によくある呼吸根が見られません。しかし、園内の他の植物の上に縄張りを広げているのを見ると、ハマイヌビワの強靱な生命力は決して他の榕属植物に劣らないことが分かります。クワ科の中でハマイヌビワの果実は赤オレンジ色をして最も美しく、日光の下ではまるでルビーが木に飾られているようで、食べ物を求めてやってくるシロガシラ、ヒヨドリなど多くのヒヨドリ科の鳥を引き付けます。
ジャスミンの原産地はインド、アラビア一帯で、台湾でもその美しい姿と香りをたたえた有名な民謡があります。「末利」はインドの梵語の音訳で、茉莉花(ジャスミン)を指します。聞くところによると、インドでは愛を伝えるとき、バラではなくジャスミンを送ります。受け取った女性が髪に刺すといつまでも変わらない愛を表すため、人々は「愛の花」と呼びます。
庭園の大木の一つである山菜豆(ステレオスペルマ)は、木の幹が割れており、中身はからですが、依然として力強い生命力を現わしています。
中国語で「山菜豆」と名付けられたのは、その果実が細長く豆の鞘のようで、遠くから見るとまるで木の上にサヤエンドウが生えたように見えるからです。真夏の夜に花を咲かせ、開花期にはラッパ形の白い花が抜け落ち、地面を敷き詰め、注意せずに踏んでしまうと花の汁が流れだします。実は、この汁は夜行性昆虫の大好物なのです。烏来や三峡渓谷地帯などの台北近郊で、その天然植木郡を鑑賞することができます。
半落葉性喬木で、その葉は季節によって青緑、黄褐色等の様々な色に変化します。また、葉が大きく、葉脈の筋を顕著に表しているので、遠くからでも人々の注意を引きつけます。
庭園に「七絃竹」の名前の由来が解説されていますが、本当は中国語で金絲竹(キンシチク)といいます。林業試験所の資料によると、原産地はアフリカです。
昔から竹は文人雅士がよく暗喩や文章の題材として使ってきたため、伝統庭園でもしばしば見られます。世界中に分布(野生のものと販売用に栽培したものを含む)しており、その面積は2,200万ヘクタールに達し、台湾6つ分の面積に相当します。平地から三千メートルの高い山までの全ての場所でその姿が見られ、数千年に渡り、竹は人間の生活と切っても切れない関係にありました。
ミルキーパインはキョウチクトウ科に属し、枝が折れた部分から白い乳液が分泌されます。これはキョウチクトウ科の植物の特徴で、皮膚に触れたり、あるいは口に入れたりするとアレルギー反応を起こす恐れがあるので注意してください。材木の材質が柔らかく繊細なため、チョークの字が書きやすく、また木の幹がまっすぐなので黒板を造る材料としてよく用いられ、中国語で「黑板樹」と呼ばれるようになりました。
伝統的な庭園でよく築山とリュウノヒゲ(現在園内で植えられているのはジャノヒゲ)、ツツジと組み合わせて植えられています。真っ赤に実るナンテンの実は数ヶ月間もしおれることなく保存することが出来るため、長寿を象徴します。摘み取られたナンテンはよく満開のロウバイ、松の枝と一緒に花瓶に挿され、松竹梅を合わせて歳寒三友(さいかんさんゆう)とたとえます。
ゴシキドリはとても普遍的な留鳥で、台湾特有の亜種であり、雌雄の大きさと体の色は似ています。頭が大きく体つきが重厚で太って見え、額とのどの部分が黄色くなっていて、目の前方とのどの下にそれぞれ赤い斑点があり、顔は青色、嘴と足は濃い灰色、体の大部分は鮮やかな緑色をしています。体全体が五つの艶やかな色で占めているところから名前が由来しています。
庭園で最も感嘆を誘う植物です。初春、すっかり禿げた小枝に緑鮮やかな若葉を伸ばし、間もなく樹冠は淡くすがすがしい香りのする紫色の小さな花を一杯につけ、そよ風が吹くと花や葉が乱れ散ります。初冬に黄金色の果実がまばらな葉の間に実っています。果実は堅く数量も多いので、中国語で別名「金鈴子(鈴なりの意味)」と呼ばれています。
庭園の中に入ると、ひっきりなしに耳に心地よく響く軽快な歌声はどこから聞こえてくるのでしょうか?誰が歌っているのでしょうか?頭をもたげて探してみてください。シロガシラは見えましたか?
シロガシラの分布は大変広く、都市や農村を問わず、どこでも見られる鳥種で、都市の三剣客(シロガシラ、スズメ、メジロ)のうちの一種です。人家のあるところには、彼らの影を見ることができます。
方鑑斎の池の畔の隅には、一株のダイオウヤシがあり、原産地は遠く離れたキューバ、ジャマイカ、パナマなどです。この木はかなりの歴史があり、まっすぐで滑らかな大きいな木の幹に、昔の人々が彫った字が残されています。細かく読むと、筆跡の中には民国38年(1949年)まで遡る筆跡もあり、かつて庭園が寂れていた頃に来園客が思いのままに残した作でしょう。今では人々は一花一木を大切に扱い、字を彫るといった行為はもうなくなっています。
方鑑斎は「半畝方塘一鑑開,天光雲影共徘徊(半畝の四角の池(方塘)が一枚の鏡(鑑)のように澄んでおり、池の中で天の光と雲の影が共にゆらゆらと揺れる)」という詩の意味から名付けられました。天地の光と影が水に映り、池をスイレンで飾り付ける様子は『華厳経』の中で言及している仏教の荘厳なる蓮花蔵世界の境地を現しています。庭園内で植栽されているスイレンは輸入種で、一般の人が良く知っているものと同じです。
スズメは台湾では非常に普遍的で、知らない人はまずいないでしょう。人家のある場所なら、どこでも見ることが出来ます。彼らは私達の周辺で、私達と共に生活を営んでいます。クーラーの傍ら、柱の間などに巣を作り、隙間さえあれば、巣を築き愁いなく生活して後代を繁栄します。