磚彫(レンガ彫り)
磚彫(レンガ彫り)は「磚刻」とも称され、作品の色合いは赤オレンジ色と青いグレーの2種類に分けられます。林本源園邸では閩南(福建南部)スタイルを受け継いでいるので、赤レンガを主な建材として使用しており、レンガ彫りも全て赤オレンジ色になっています。彫刻の題材は多様化しており、壁や門額、壁の隅、員光門等の場所でよく見られます。
製作方法は「窯前彫」と「窯後彫」の二種類があります。窯前彫とは軟彫のこと、すなわち彫刻をしてから焼く方法で、一方で窯後彫とは硬彫を指し、焼いてから彫刻をする方法です。最後に完成品を建物に固定し、図案と紋様(彫り目)の凹みにホワイトグレーかブルーグレーの塗料で着色して強調します。
三落大厝玄関内の広間や正面広間、奥の堂にある向かい合った壁に、それぞれ見事なレンガ彫りの作品があります。また、レンガ壁の正面は亀の甲羅型や八卦型、十字型など様々な形をレンガで積み上げています。
定静堂の一つ目の中庭に入ると真正面に八角形の赤レンガを積み上げて造った、見事な出来栄えの壁があります。玄関及び二つ目の中庭の入り口には、向かい合った壁があり、それぞれにレンガ彫りの作品が見られます。園邸が荒れ果てていた時期に破壊されましたが、できる限り元の姿に修復するよう最善を尽くしたので、今でもレンガ彫りの繊細な模様を見ることが出来ます。